MR2との初めての出会いはボクが高校生の時でした。
日曜日に町をぶらついていた時、1台の白い車が洗われている光景を目にしました。
ごく普通の日常的な光景でした。
ただその車が大変印象的で、当時は車には全く興味がなかったボクの心もつかむものでした。
車体後ろのエンジンフードが中のエンジンの存在を知らしめていました。
後でそれがMR2だという事を知りました。
当時印象に残った別な車は中学校の先生が乗っていたCR-Xだけでした。
それ以来いつかは必ずMR2に乗りたいと思っていました。
しかし、周りがスポーツカーに反対していたので長く乗ることはありませんでした。
そして、かれこれ10年ほど前にようやく赤いMR2を手に入れました。
それから東京に行っていたり、兄のトレノもあったりでMR2は庭に置いてありました。
でも、定期的にエンジンはかけ、庭で動かしていました。エンジンオイルも自分で定期的に交換していました。
程度はそう悪くなかったと思います。
地震が起きた時は母親の車で避難しました。
軽自動車なら小回りも効きますし、燃費もいいです。
当然MR2は庭に置きっぱなしでした。
宮城県の借り上げ住宅に避難してきたのは23年6月でした。
それからしばらくして以前の職場に復帰することにしました。
でも、以前の職場は南相馬市にありましたので遠いです。
通勤用の車もありません。
そこで通勤用に古い軽自動車を買いました。
古いと言っても車は車、なんだかんだで20万円はしました。
それから片道2時間の通勤が始まりました。
毎日、朝は6時半に家を出て、帰りは11時位になっていました。
さて、MR2を警戒区域から持ち出したのは震災が起きた23年の12月でした。
持ち出しの日、ようやく富岡町の自宅についてMR2のエンジンフードを開けてみると、エンジンの上にネズミが巣を作っていたのでしょうか?いろいろな生ごみのようなものが残っていて、かなりの汚れでした。
手入れをしないと赤い車は退色が早いです。半年も放置していたので色もかなり褪せてしまっていました。
鳥の糞も付着し、コケも生えていました。
それでも、持ってきたバッテリーをつなぐとなんとかエンジンはかかりました。
それから1度は警戒区域で動かなくなったりしたものの、修理工場で修理してとりあえず自走できるまでになりました。
後日修理工場からMR2を引き取り、借り上げ住宅のある宮城県まで走ってきました。
真冬の東北道を経由しなければなりませんでした。しかもノーマルタイヤで。
気を使って運転してきたので、もうすっかりぐったりでした。
当時は、精神的な苦痛の賠償も含めて、まだ東電から賠償金もあまりもらっていませんでした。
身の回りの物もそろえなければなりませんでした。お金もなく、足になる軽自動車もありました。
MR2は持ち出したものの結局車検に出さずにそのままになっていました。
昨年末、軽自動車の調子が悪くなり廃車しましたので、今年の初めになり再びMR2に乗ることにしました。
車検に出し、冷却水もエンジンオイルも交換しました。
その他、前から悪いところもあったのでついでに修理しました。
東電のために半年以上警戒区域内に放置せざるをえなかった訳です。
だから、修理費のうち半年放置すれば悪くなっていたであろう部品の交換費用を請求しました。
エンジンオイル、冷却水、ブレーキフルードなど消耗品の分です。
ついさっき、「自走できた車の分は支払いません」という連絡がありました。
半年も放置せざるを得ない状況を作っておいて、そんな話はないと思いませんか?
すぐに持ち出せれば、ボディの色も退色しませんでしたし、汚れやサビも発生しませんでした。
通勤のために軽自動車だって買う必要もなかったのですよ。
いっそ持ち出さないで、廃車にしてその分賠償請求した方が“もうかりました”
いくら事情を話しても払わないとしか言いません。
早い話が迷惑をかけておいて何もしないと言う事です。
この怒りはどこにぶつければいいのでしょうか?
最近東電の暴挙は目に余るものがあります。
請求するためにはなんでも証明書を用意しろと言います。
証明書を準備するにしたってかなりの時間と労力がかかります。
ボクも今回、車の修理費を請求するにあたってわざわざ陸運局に行って保存記録なるものを取得しなければいけなかったわけです。
慣れない事でしたし、結局1日つぶれました。
そういう末端で苦しんでいる者の気持ちも東電は理解しているのでしょうか?
人に多大な迷惑をかけておき、自分たちは高い給料をもらっています。東電に勤めていた知り合いの月給は100万という事でした。
自分たち庶民は月給20万程度で過酷な労働をしているのにです。
それで、電気料金の値上げを申請するなど言語道断だと思いませんか?
まず、自分たちで努力すべきです。
日本全土にこれだけ迷惑をかけておきながら平然としている企業は東電のみです。
今も昔も東電は嫌いです。
ただただ怒りがこみあげてきます。