悪夢の二週間

1回目の渡航の後は、松橋はフィリピンに残り彼女の書類作成や結婚式の準備などの手伝いをすると言いました。ボクの2回目の渡航までは約2週間ありました。正直ボクは書類の作成に二週間も滞在する必要があるのだろうかと考えました。

その間の実費は私が負担することになっていました。実費にはホテル代やタクシー代、食費も含まれます。

松橋が選んだホテルは地元で一番高いホテルでした。1日13000円以上します。もっと安くて安全なホテルはいくらでもあります。しかし、一番高級なホテルだけを選びました。そして、毎晩毎晩クイーンベッドの部屋を指定しました。当然シングルよりも高いです。そして地元スタッフと称して毎日毎日違うフィリピンの女性を連れて歩いていました。それが愛人なのかなんなのかはわかりません。当然夜も一緒でした。

2週間の彼の滞在費は全てボクの負担でした。彼の請求額はとても高額なものになりました。やはり明細も領収書も提出しませんでした。当然ボクは提出するように要求しましたが、彼はかたくなに拒みました。「他のものと一緒に買っているから出せない」というのがいつもの彼の良い訳でした。

しかしボクは、どんなことがあっても彼女と結婚したいという気持ちから、彼の言い値で支払いを続けました。

しかし、これはまだいい方です。

ボクは、結婚式に関してはフィリピンなんだから安いだろうし、30万円程度でやってくれとお願いしました。彼女もシンプルな結婚式でいいと言ってくれていました。

しかし、彼は最低75万は払えと言い続けました。「会社の規定」だと彼は言い続けました。当然、見積書も明細も何もありませんでした。

ボクは彼女を愛していますから、やむなく承知しました。

そして数週間前に結婚式の費用として少し多めの100万を支払いました。ところが、しばらすると100万に変更すると言い出しました。そして、最終的には税金が20万円かかるといい計120万になりました。

彼女が持っている結婚式場となるホテルの明細を見たら約20万円でした。彼は20万のものに100万以上、上乗せし請求していました。彼からしたらプロデュース代とのことかもしれませんが、少なくとも20万の支払いに対して20万の税金はかかりません。彼は経費を詐称し代金を請求しました。

その数日後に、追加で多額の金銭を請求されました。彼女の結婚式の衣装や身の回りの物の費用とのことでした。これはフィリピンへ直接送金しました。ボクはやはりお金を払うのは自分だからと領収書の提出を要求しましたが、やはり彼は拒み続けました。

そして、2回目のフィリピンの渡航に際して、彼女の家に結納金を納めることになりました。松橋はフィリピンでの相場は100万だから、100万を納めるように要求しました。松橋は100万は航空機で運べないから、60万は彼女に送金し、50万は松橋が立て替えておき、計110万を彼女の両親に渡す予定となりました。そして事はそのようになると信じていました。

これまでボクの支払いはすでにかなりの金額になっていました。ホテル代等彼の滞在費を含めすべてボクの負担とされました。そして、さらに結納金です。でも、ボクは彼女を愛していますから、彼女の家族の為にと思いなんとか支払いました。

しかし、支払いはとても大変でした。ボクの金銭的な限界も近づいてきました。

だから彼女にも費用面で相談することにしました。松橋は金の事は彼女に話すなと言っていましたから、今まで彼女に費用の相談はしませんでした。

しかし、彼女や日本語のできる彼女のお姉さんに直接メールで相談したところ、いろいろなことが判明しました。

細かいことは省きますが、平たく言えばすべての物に関して高額な費用を上乗せしていました。実際の明細は大まかですが、彼女のお姉さんが記録していました。

そして、松橋はそれまでの2週間、毎日ではないとしても大方、自分の彼女 ( 愛人 ) と買い物に出かけ、私の彼女とお姉さんは荷物持ちになっていたそうです。背任行為です。ボクの信頼を裏切りました。

そして、彼女に結納金100万 ( 10万程度は送金の際に価値が下がるそうです ) をもらったか確認しました。しかし、もらっていないとの答えが返ってきました。

ここで、すでにボクは松橋がどういう人物かはっきりと理解し始めました。

渡航に際して、事前に消費者生活センターにも相談しました。それで、 マリッジキューピット の違法性を理解しました。

そして、2回目の渡航となりました。