製図道具 (イギリス式)

ボクが本格的に図面書きを始めたのは、高校生の時からです。
図面描きがホント好きで、家に帰ってきては遊びにも行かないで、ひたすら製図の練習をしていました。

現在はその延長で船舶設計をしています。

きれいな図面には味があり、また、芸術的な美しさがあります。

手描き図面のノウハウは時代と共に失われつつあります。それは、とても残念なことです。

道具からして製図道具には今の道具にはない味があります。

また、近頃の設計者はCADしか経験していませんが、多くの設計者が口をそろえて言うように、手描きの図面を引けなければ一流とは言えません。

手描きの作図には時折、図学を理解していないと無理なこともあります。その図学のノウハウはCADになった今でも役立つときがあります。

ボクはいくつかの3次元CADも使えますが、2次元CADも手描きもできないと一流ではないと思っています。

 

製図道具には大きく分けてドイツ式とイギリス式があります。

ドイツ製で有名なのは、ロットリングとステッドラーです。
ロットリングはとても有名なので、「ロットリング」というと製図ペンを指すものと勘違いしている人もいますが、ドイツの会社名です。

ドイツ式は大量生産されているため品質が安定しています。

ボクが好きなのはイギリス式です。もはや芸術品の領域の美しさがあります。

イギリス式は本来は職人が手作業で作っていました。そのため、1つ1つが微妙に違います。

残念ながら時代と共に製造を中止するメーカーが増えていてます。いずれは骨董品として扱われる時代が来ることでしょう。

 

・カラス口

武田製 カラス口

先がカラスの口に似ているためカラス口と呼ばれています。

墨入れに使います。

先端はオイルストーンを使って、極端な表現かもしれませんがカミソリの刃ほどに研ぎます。それぐらい先を鋭くして使います。そうしないとシャープなエッジが出ません。

線の太さはツマミにより自在に調節できます。
紙に試し書きをしながら求める線幅にしていきます。
慣れれば見ただけで書かれた線の太さを判別できます。慣れない人は、「線幅ゲージ」を使って線の太さを調節します。

カラス口を使って上質なケント紙に書かれた線の美しさは現在のどんなプリンターも凌ぐと思います。

材質はコバルト鋼、ハイスピード鋼、ステンレス鋼などがありました。

コバルト鋼は一番丈夫です。ステンレスのものは割と安価で手入れが簡単なので、初心者向けです。

 

 

・大型コンパス

武田製 コンパス

先端をエンピツ(芯)、カラス口、針に交換できます。デバイダーとしても使用できます。

 

 

・比例コンパス

武田製 比例コンパス

 

 

(随時更新予定です。)

 

 

 

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